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忙しい方のための要約
SofaScore 6.7 / FotMob 6.7
試行した4本のうち3本を成功させる高い成功率を記録し、ペナルティエリア内への供給でチャンスを創出した。この数字自体は堂安の技術力を考えるとやや物足りないが、積極的に前方への難しいパスやクロスを試みた結果として、失敗が増えた側面もあるだろう。ポゼッション喪失も二桁に達しており、ボールを失った後の守備への切り替えに課題が残った。
ブンデスリーガ第28節、フランクフルトはケルンと対戦し、堂安律は67分間プレーした。右サイドを主戦場に、得意のクロスで攻撃に厚みをもたらした一方、対人守備では明確な課題も覗いた。ブンデスリーガの年間ベストイレブン候補にノミネートされている選手として、安定感のある貢献を見せた試合だった。
この試合で堂安が最も輝いたのは、クロスの精度だ。試行した4本のうち3本を成功させる高い成功率を記録し、ペナルティエリア内への供給でチャンスを創出した。フランクフルトの攻撃において、右サイドからの崩しは堂安の存在なしには成立しない。クロスの質だけでなく、タイミングやボールの軌道にも工夫が見られ、相手ディフェンスラインの裏側を突くボールは常に脅威として機能した。特にアーリークロスで相手のマーキングが整わないうちにボールを送り込む場面は、堂安ならではの戦術眼が表れていた。
キーパスも記録し、決定機を1回演出している。xAの数値からも、堂安が味方に提供したシュートチャンスの質が一定水準以上であったことが読み取れる。ボールタッチ数は50回に達し、右サイドで常にボールに絡み続けたことがわかる。パス38本のうち成功したのは29本で、成功率は76%台。この数字自体は堂安の技術力を考えるとやや物足りないが、積極的に前方への難しいパスやクロスを試みた結果として、失敗が増えた側面もあるだろう。安全なバックパスに逃げずに攻撃的な選択を繰り返したことは、チームの攻撃に推進力を与えていた。
一方で、デュエル勝率は4分の1にとどまった。特に守備時の1対1で後手に回る場面が目立ち、相手サイドバックやウイングバックに対して主導権を握れなかった。ポゼッション喪失も二桁に達しており、ボールを失った後の守備への切り替えに課題が残った。右サイドでボールを奪われた後に相手のカウンターの起点になるリスクは、チームの守備バランスに影響を与える。この点は監督からも改善を求められている部分だろう。空中戦でも1敗を喫しており、ヘディングでの競り合いでは不利な場面があった。
67分での交代は、監督が試合展開に合わせてフレッシュな足を投入するための判断だろう。堂安は右サイドで一定の仕事を果たした上での交代であり、ベンチに退いた時点でのチーム貢献度は決して低くない。ただし、フルタイムで試合に出続けるためには、後半に入ってからのパフォーマンスの維持、特にスプリント数と守備への関与度を上げる必要がある。67分という出場時間が堂安の体力的な限界を示しているのか、それとも戦術的な采配なのかは判断が分かれるところだが、いずれにせよ90分を通じた貢献度の向上は今後の課題として意識すべきだ。
戦術的な観点から見ると、フランクフルトの右サイドの攻撃は堂安の存在に大きく依存している。堂安が退いた後のチームの攻撃の変化を観察すると、右サイドからのクロス供給の質と頻度が明らかに低下する傾向がある。これは堂安の攻撃的価値の高さを示す一方で、チームとして堂安不在時のプランBが確立されていないという課題も浮き彫りにしている。堂安がピッチにいる67分間と、いない23分間のチームの攻撃パターンの差は、堂安の存在価値を最も雄弁に物語る指標だろう。
ケルンというブンデスリーガの中でも中位に位置する相手との試合でこの内容だったことも考慮すべきだ。上位クラブとの対戦ではプレスの強度がさらに上がるため、デュエル勝率の改善は急務と言える。ロングボール2本の試行もサイドからの展開を狙ったものだろうが、成功は限定的だった。クロスの精度が高い分、ロングレンジのパスにも同様の質を発揮できれば、攻撃のバリエーションはさらに広がるはずだ。
今季の堂安を振り返ると、平均的な採点を上回る数字を残しており、シーズン通した貢献度の高さは疑いない。クロスの精度と攻撃のアイデアという持ち味は、ブンデスリーガでも上位に位置する武器だ。ブンデスリーガの年間ベストイレブン候補にノミネートされたことが、今季の堂安の価値を客観的に証明している。
筆者としては、堂安が次のレベルに行くために必要なのは、守備面での強度とボール保持時の安定感の向上だと考えている。攻撃での貢献に対人守備の安定が加われば、採点はさらに伸びるはずだ。フランクフルトのシーズン終盤戦において、堂安の右サイドは攻撃の生命線であり続ける。CLやELの出場権がかかるリーグ戦の重要局面で、クロスの精度をそのままに球際の攻防でも存在感を示せるか。残り数試合で堂安がどこまでプレーの幅を広げられるかに注目したい。ブンデスリーガ年間ベストイレブンの最終選考に残るためにも、シーズン終盤のパフォーマンスの積み上げが不可欠だ。クロスという明確な武器を持つ堂安が、それ以外の要素でも評価を上乗せできるか。今後の数試合がその答えを明確に出すことになる。