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忙しい方のための要約
SofaScore 6.5 / FotMob 6.4
数字の表面だけを見れば「不調の試合」だが、この試合の文脈を読むことで久保評価の本質が見えてくる。まず注目すべきはxGとxAだ。この背景にはラージョの戦術的な構造がある。
レアル・ソシエダ対ラージョ・バジェカーノ。久保建英はSofaScore(以下SS)6.5・FotMob(以下FM)6.4という採点を受け、56分でピッチを去った。さらにFMのデータにはイエローカードの記録もある。数字の表面だけを見れば「不調の試合」だが、この試合の文脈を読むことで久保評価の本質が見えてくる。
まず注目すべきはxGとxAだ。xG(ゴール期待値)0.057、xA(アシスト期待値)0.012。シュートは記録されているが、その質は「ほぼゼロ」に近い。xG0.057は100回プレーして5.7回しかゴールにならない程度のシュートしか打てなかったことを意味する。つまり今節の久保はシュートに持ち込めたが、それはゴールを脅かす内容ではなかったということだ。
この背景にはラージョの戦術的な構造がある。ラージョ・バジェカーノはラ・リーガの中でも守備ブロックを低い位置に敷き、スペースを消すことを徹底するチームとして知られる。久保がよく機能する「ラインの裏への抜け出し」や「ハーフスペースへの侵入」は、相手が高い位置にラインを設定している場合に有効な戦術だ。5バック気味の低い守備ブロックに対しては、久保の持ち味が相対的に出にくい。
デュエルは4勝4敗で勝率50%。数字としては均衡しているが、今節のパス本数は試行16回・成功13回(成功率81.3%)と非常に少ない。56分間でわずか16本のパスは、ボールを受ける機会自体が限られていたことを示す。ボールタッチも30回にとどまり、試合に絡めなかった実態が数字に現れている。
ポゼッション喪失は10回。16パスで10回のポゼッション喪失は、ボールを持つたびに相手のプレッシャーに押されていた場面が多かったことを示唆する。久保建英はボールを持ってからの判断の速さと技術で評価を得る選手だが、今節はそのプロセス自体が機能しなかった試合といえる。
イエローカードの影響も見過ごせない。56分での交代がイエロー累積によるリスク管理なのか、純粋な戦術的判断なのかは外部からは判断できない。ただし前半から黄紙1枚を持つ状況では、デュエルでの積極的な守備参加にも自ずと制限がかかる。パフォーマンスへの影響が全くないとは言えない。
SS6.5・FM6.4という評価は、今季の過去平均6.8と比べてわずかに下回る。0.2〜0.4ポイントの差は統計的に有意な差とは言えないが、「今季の平均を下回った」という事実は記録として残る。とはいえ6.5や6.4という採点は「不合格」ではなく「平均的な試合」に近い評価だ。実際、xGほぼゼロ・タッチ30回という内容でも6台半ばを与えているのは、採点者が試合全体への貢献を一定程度評価した証左でもある。
今節の久保建英から引き出せる問いはシンプルだ。「守備ブロックを構えた相手に対して久保建英はどう機能すべきか」。これはレアル・ソシエダ全体の課題であり、久保個人への問いでもある。ラ・リーガの上位クラブは今後も似たような戦術で挑んでくる相手が増える。56分・xGほぼゼロという今節のデータは、その問いへの答えをまだ持ち合わせていないことを正直に示している。