スペインのラ・リーガに位置するRCDマジョルカに所属するFW浅野拓磨が、今夏に10年ぶりとなるサンフレッチェ広島への復帰を果たした直後、トレーニングマッチ中に負傷離脱するというアクシデントに見舞われた。
この突然の負傷報道は、国内の主要スポーツメディア5社が一斉に伝える事態となり、各メディアで報じられた内容やその論調にはそれぞれの特色が現れている。
左ヒラメ筋肉離れと診断された浅野の離脱は、開幕を控えたチームにとっても、選手個人にとっても大きな障壁となる。
国内主要メディアが伝えた負傷の経緯と論調の違い
この負傷劇に対し、国内メディア5社は2024年7月27日に一斉に報道を開始した。
各社が報じた内容の要点は以下の通りである。
- サッカーキング:7月25日に行われた非公開のトレーニングマッチで浅野が負傷し、翌26日に広島県内の病院で検査を受けた結果、左ヒラメ筋肉離れと診断されたというタイムラインを最も客観的に整理して報じた。
- 超WORLDサッカー!:サッカーキングと同様に、10年ぶりの復帰直後というタイミングでの負傷である事実と、クラブ側からの公式発表の内容を正確に読者へ伝えている。
- FOOTBALL ZONE:他社が診断名を中心に報じる中、「開幕絶望のアクシデント」という強い言葉を見出しに採用し、全治期間が不明であることによるチームへの危機感を最も強調した論調を展開した。
- フットボールチャンネル:サンフレッチェ広島にとっての戦術的・戦力的な「痛手」である点にフォーカスし、これからのリーグ戦における影響を懸念する論調を見せた。
- ゲキサカ:今夏に10年ぶりの復帰を果たしたという事実をベースに、負傷の発生を速報として簡潔に伝える構成をとった。
このように、各社は「左ヒラメ筋肉離れ」という診断事実をベースにしながらも、その影響度について客観的な事実伝達に終始するメディアと、チームの戦術的危機感を煽るメディアとに二分された。
戦術的影響と復帰に向けた懸念材料
浅野拓磨というスピードを最大の武器とするアタッカーにとって、ふくらはぎに位置するヒラメ筋の肉離れは極めてデリケートな負傷である。
フットボールチャンネルが「痛手」と表現し、FOOTBALL ZONEが「開幕絶望」と報じた背景には、この部位の負傷が持つ特有の再発リスクとリハビリ期間の長さがある。
一般的にヒラメ筋の肉離れは、ダッシュや急激な方向転換を行う選手にとって復帰プロセスを慎重に進めなければならない怪我の一つとされている。
各社の報道では全治期間について「不明」とされており、サンフレッチェ広島のクラブ公式サイトでも具体的な離脱期間は明記されていない。
この事実から、負傷の程度は軽微なものから重度なものまでいくつかの可能性が考えられる。
仮に軽度の肉離れであれば3週間から4週間での実戦復帰も見込めるが、部分断裂などを伴う重度の場合は2ヶ月以上の長期離脱となるケースも過去のJリーグにおける類似症例で確認されている。
サンフレッチェ広島にとっては、10年ぶりに復帰した看板選手をシーズン開幕当初から欠くことになり、戦術的な再構築を余儀なくされる。
スピードを活かした前線からのプレスや、カウンターの局面における推進力を期待されていた浅野の不在は、前線の組み合わせに大きな変更を迫るものだ。
今後の復帰プロセスにおける第一の確認点は、クラブから発表されるであろうリハビリの進捗状況である。
他クラブの海外組アタッカーたちの動向と代表選考への波及
浅野が戦線離脱を余儀なくされる一方で、同ポジションを争う他の海外組選手たちはプレシーズンで確かな結果を残し始めている。
特に注目されるのは、スペイン2部のUDラス・パルマスに所属するFW宮代大聖の動きだ。
ゲキサカなどの報道によると、宮代は7月28日に行われたプレシーズンマッチで、わずか2分間のうちに2ゴールを挙げる大活躍を見せ、チームを逆転勝利に導いた。
同じスペインのリーグに籍を置くライバルがこのように好調な滑り出しを見せている事実は、浅野にとっては焦りにつながりかねない要素となる。
日本代表のアタッカー陣における序列争いにおいても、実戦でのパフォーマンスを示せない期間が生じることは、今後の代表選考において不利に働く可能性を否定できない。
さらに、アイントラハト・フランクフルトの堂安律がプレシーズンマッチで先制点をアシストするなど、他の海外組アタッカーたちも順調に仕上がりを見せている。
戦術的な適応を進めるべき復帰初期の段階でリハビリ生活を強いられる浅野にとって、ライバルたちの躍動はプレッシャーとなる。
まずは浅野自身の患部の回復具合と、ファーストステップとなるランニング再開の時期が待たれる。
蹴太のひとこと
自分としては、FOOTBALL ZONEが「開幕絶望」と煽った論調にはやや過剰な印象を受けるものの、スピードスターである浅野にとってヒラメ筋の肉離れが致命的なブレーキになり得るという点には同意せざるを得ない。
個人的に多くの快速FWがふくらはぎのトラブルでパフォーマンスを落とす姿を見てきただけに、10年ぶりの広島復帰という最高のストーリーに水を差されたこの負傷は本当に悔やまれる。
宮代大聖がスペインで結果を出し始めている今、焦って早期復帰を急ぐことだけは避けてほしいというのが率直なところであり、まずはクラブから発信される次の公式トレーニング復帰のニュースを静かに待ちたい。