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忙しい方のための要約
SofaScore 7.7 / FotMob 7.7
コーナーキックのキッカーとして複数回の機会を任され、いずれも高い精度でターゲットへボールを供給した。オープンプレーでも田中の貢献度は際立った。xAの数値も高く、アシストの公式記録には至らなかったものの、生み出したチャンスの質は申し分なかった。
プレミアリーグ第32節、リーズはアウェイでマンチェスター・ユナイテッドを2-1で下し、45年ぶりとなるオールド・トラッフォードでの勝利を手にした。田中碧は16試合ぶりの先発で74分間プレーし、チームの攻撃を中盤から設計する司令塔として圧倒的な存在感を発揮した。長期間ベンチを温めた後にこの大舞台で結果を出したことは、田中の精神的な強さと準備の質を如実に物語っている。
この試合における田中の最大の武器は、セットプレーのキック精度だった。コーナーキックのキッカーとして複数回の機会を任され、いずれも高い精度でターゲットへボールを供給した。先制点の場面ではCKからの流れで味方のゴールを演出し、セットプレーがリーズの攻撃における重要なオプションであることを改めて証明した。コーナーキックから「ファーへスラして落とす」という形はチームとして練り上げられた狙いであり、田中のキック精度がその戦術を成立させる核になっている。実況解説陣も「狙い通りのところにボールを送り込んでいる」と、田中のキックの質を高く評価した。
オープンプレーでも田中の貢献度は際立った。クロスを放った全てのボールを成功させるという驚異的な精度を記録し、キーパスも4本を数えた。これはプレミアリーグの1試合において中盤の選手としては突出した数字であり、味方にどれだけ多くの有効なボールを届けたかを如実に物語っている。xAの数値も高く、アシストの公式記録には至らなかったものの、生み出したチャンスの質は申し分なかった。ニョントへのワンタッチのスルーパスはその最たる例で、ニョントの良さを理解した上での判断の速さが光った。
守備面でもバランスの取れたパフォーマンスを見せた。タックル2回、インターセプト2回を記録し、中盤での守備タスクを確実にこなした。デュエル勝率は5割ではあるが、マンチェスター・ユナイテッドという相手を考えれば健闘した数字と言えるだろう。何より目を引いたのはボールロストの少なさで、74分間という長い出場時間を考えると、ボール保持時のミスが極めて少なかったことは特筆に値する。ポゼッション喪失が一桁台にとどまった点は、中盤の選手としてのボール管理能力の高さを証明している。
xGの高さも注目に値する。中盤の選手としてはかなり高い数値を記録しており、自らシュートチャンスに迫る積極性を見せた。ゴールにこそ至らなかったが、決定機も1回記録しており、ボックス周辺への進出が増えていることはプレースタイルの進化を感じさせる。プレミアリーグでは中盤からのゴール貢献が求められる傾向が強く、田中がその期待に応えようとする姿勢が数字に表れている。
特筆すべきは、この試合での田中のプレーが「ゲームを読む力」に裏打ちされていた点だ。ニョントへのスルーパスの場面では、ニョントがスピードで勝負できるタイプであることを理解した上でのワンタッチパスだった。味方の特徴を把握し、最適なタイミングでボールを供給するというのは、単なる技術力ではなく、試合の流れと味方の動きを同時に把握する認知能力の高さを意味する。マンチェスター・ユナイテッドという相手に対して、こうした冷静な判断をアウェイの環境で下し続けたことは、田中の成熟を示すエピソードだ。
また、ボールタッチ67回という数字は、中盤の選手として試合全体に関与し続けたことを意味する。74分間で67タッチ、つまりほぼ1分に1回のペースでボールに触れていた計算になる。この関与度の高さは、チームメイトが田中をパスの受け手として信頼していることの証明であり、同時に田中自身が常にパスコースを作るポジショニングを取り続けていた結果でもある。
筆者として特に印象的だったのは、16試合ぶりの先発というブランクを感じさせないパフォーマンスだったことだ。長期間ベンチを温めた後にアウェイのオールド・トラッフォードで先発し、チームの勝利に直結する貢献を見せるというのは、日々のトレーニングでの取り組み姿勢とメンタルの強さを証明するものだ。採点も今季平均を上回り、田中がコンディションさえ整えばプレミアリーグでも上位の中盤として十分に通用することを改めて示した。ファルケ監督がメディアの前で「アオの最近のパフォーマンスには満足している」と名指しで称賛したことも、チーム内での評価の高さを裏付けている。
リーズにとって残留争いが続く中、田中のこの日のパフォーマンスは今後のスタメン選考に大きな影響を与えるだろう。セットプレーの精度、オープンプレーでのチャンス創出力、そしてボール保持の安定感。これらの要素を兼ね備えた中盤の存在は、どのチームにとっても貴重な戦力だ。次戦以降、田中がスタメンに定着するかどうかが、リーズのシーズン終盤戦を左右する一つの鍵になるはずだ。残留に向けた勝ち点の積み上げに、田中の中盤での貢献がどこまで寄与できるか。シーズン終盤の正念場で、田中の真価が試される。